WRCのLeg３のスタートを見物した後、ホテルへ帰ってチェックアウト。

予定通り８０ユーロ×４泊＝３２０ユーロ。ばりばり現金で支払う。

「ありべでーるち！」　フロントのおじちゃんは今日も無愛想だ（笑）

さて、出発。

スーツケースが死ぬほど重い！　駅まで歩いても１５分くらいなんだけど、こりゃキツいわ！

ちょうどバスのチケットが余っているので、バスターミナルからANDORA行きのバスに乗る。

わずか５分ぐらいで、サンレモ駅前に到着。 スーツケースの上げ下ろしが大変だー！ずっしり！

さて、予定の列車までは１５分ぐらいあるはず。

電光掲示板には、予定通りの時刻が表示されている。

しかし、ホームの番号が表示されていないうえに、何やら文字がたくさん書かれている。

どうせまた遅れているんだろう。　ここイタリアでは国鉄の遅れは「あたりまえ」なのだから。

「今にうちに！」と、おかみちょんはトイレへ行く。

日曜だからか、駅には誰もいない。 ガラーンとして静かだ・・・・ 本当にお客が一人もいない・・・・ でも構内で犬の散歩をしている人がいる（笑）

ぼーっと待っていると、売店のおばちゃんがフラリと現れた。

タバコをくわえ、ニコニコしながら、イタリア語で何か言ってくる。

「？？？？？」

よーく聞くと、「すとらいく」、「のーとれいん」という単語が繰り返し出てくる。

まさか・・・・・いや〜、まさかね・・・・

「すとらいく？」

「しー、しー、すとらいく！」

そう、そのまさかであった！

ストライキで列車は来ないのだ！

What's!?　Realy!?　Oh!! No!!　マジっすか！？

イタリア国鉄はしょっちゅうストをする、とは聞いていたが、よりによって今日やりやがった！

(ﾟдﾟ;）がびょーん！

そういえば、フィレンツェにいたときニュースでストライキの話やってたけど・・・電車だったんだ（爆）

ミラノまで約２００ｋｍ！　特急列車でも４時間の距離！　どうやって移動しよう？

サンレモにもう１泊するか！？　ミラノのホテルはキャンセルに！？

いやいや、それ以前に、明日の朝１１：００のフライトで帰るんだから、まずありえないぞ。

なんとしても、今日中にミラノに着かないと帰りの飛行機がヤバい。

駅の窓口のおじちゃんに聞いてみると、やはり「すとらいく　のーとれいん」だ。

しかも、「おーるでい　のーとれいん」。　丸一日ストをやるつもりらしい。丸一日っすよ？信じらんねぇ？！

「あうとぶすすたちおーね」（バスターミナル）へ行け、と言っている。

タクシーでいける距離ではないし、飛行場なんぞない。　たしかに残る交通手段はバスしかない。

しかたないく、スーツケースをがらがら押しながら、バスターミナルへ戻る。

こちらは、いたってのどかな朝の風景だ。

そこへ血相かかえて運転手達がヒマそうにしている事務所に乗り込み、

「ミラノまで行きたい。どうやって行ったらいい？」と聞く。

いっせいに、「それなら、サンレモ駅へ行け」　「駅はあっちだ。」と言われてしまう。　

「ストライキで電車は動いてない！」と説明すると、別の事務員さんが「そーいえば、ニュースで言ってたなぁ」

それを聞いて納得したらしい。

「なんだま〜たストかよ！で、ミラノまで行きたいのか？そ〜だな〜ミラノなら・・・・・・どうしようもないな・・・・・」

いろんな人に聞いてまわってくれたが、これといった名案は見つからないらしい。

「せめてジェノヴァまで行くバスはないか？」と聞くが、どうやらないらしい。

移動手段がない　→　今日中にミラノに着けない　→　明日の朝の飛行機に乗れない　→　火曜日に帰国できない

会社もさらに休まにゃならん！　しかも、サンレモ延泊とミラノのホテルキャンセル料、＆　航空券の買いなおしで予想外の出費！

危うし！サンレモ帰路！　いったいどうなってしまうのか？！（ガチンコ風に）

なんて、騒いでいると、これまたストで列車に乗れなかった、おじさんが現れた。

耳をかっぽじって聞いているとミラノへ行きたいと言っているではないか♪

しかもそのおじさんは、少しだけイタリア語が使えるらしい。

ないす！　これは便乗せねば！　おじさんにくっついて、いろいろ訪ねてまわる。

が・・・・結果は同じだった。

同じ境遇同士でグチを語りあうと、彼はスペイン人だとわかった。

しばらくすると、バスターミナルの職員が２つの電話番号を書いた紙を渡してくれた。

よく意味がわからずにいると、スペイン人のおじさんが通訳してくれる。

「長距離バスがあるらしい。そのバス会社の電話番号だ。電話してみろ。だそうだ。」　と言う。

おじさん、さっそくケータイを取り出し、電話をするが・・・・・・誰も出ないらしい。

もうひとつの番号にも電話をするが・・・・・誰も出ない。

バスターミナルの職員さんたちは、「これはうちらのバス会社じゃない。いつ出発するかわからない。」と言う。

しばらくすると、そのおじさんがうれしそうに戻って来た。

手招きをするので付いて行くと、
バスターミナルの地下駐車場に「SanRemo←→Milano」という表示プレートのついたバスが隠してあった！

おお！これのことだな！

スペイン人のおじさんは、説明してくれる。

「どうやらいつも１３：３０ぐらいに出発するらしい。ただし、今日も運行しているとはかぎらない。明日のバスかもしれない。」と言う。

これに賭けるしかないのか！？

「しょうがないな。俺は１３：００ぐらいにここに戻ってみるよ。」　と言い残して去っていった。

いまだ、危うし！この後、さらにとんでもない事態が！（ガチンコ風に）

さて、１３時まで何もせずに待つのも、なんだかなあ・・・・　ましてや未確認情報だし。

結局、あのバスは運行されませんでしたぁ。というオチは勘弁ねがいたい。

いろいろ彷徨っていると、壁に長距離バスの広告が貼ってあった。

サンレモを１２：３０に出発し、Savonaを経由して、？？？？？（よくわからない地名）まで行くらしい。

事務所のおじさんに聞いてみるが、よく知らない地名らしい。

これもダメか・・・・

見渡すと、他にも何人か同じように困っている人たちが集まり始めている。

みんなここへ来るしかないのだろう。

やがて同じ境遇の団体グループができ、国は違えども、変な連帯感でまとまってくる（笑）

今にして思えば、言葉の通じない国で、よくこれだけ精力的に動けたものだと感心する。

緊急事態では恥も外聞もないし、度胸だけでどうにかなるもんだね。（ただし、細かいディテールの意思疎通はやはり難しい）

その中に、巨大なリュックサックを背負った、バックパッカー風な赤毛のおばさんがいた。（地毛なのか？やらた赤い）

英語は使えるがイタリア語は全然だめ。

これまたグチを言い合っていると、その人はボローニャまで行きたいとのこと。

やはり駅まで行って「お〜まいがっ！」と戻って来たそうだ。

さらに、身なりの良い、元気のいいおばさんが現れた。

どうやらイタリア語をすらすらと使っている！　さらに英語もばっちり、マルチリンガルなおばさんだ。

これまた、今日中にミラノへ行きたいらしい。　これは心強い！

そこで、例の地下駐車場のミラノ行き高速バスの所に案内して説明すると、

「あらまあ！これはいいじゃない！」

「でもいつ出発かわからない？　じゃあ聞いてみるわ」　さっそくケータイを取り出し、例の電話番号にかけてくれる。

やはり誰も電話に出ない・・・・・・

しかし、バスの運転席を覗きこむと、そこに置いてあったパンフレットから別の電話番号をゲット！

こんどはつながった！　しかし、その電話の相手では何ら情報を得られなかったらしい。

そこで、さらに別の電話番号を聞きだし、そこで担当者がいないと聞けば、ケータイに折返し電話をよこすように指示している。

すばらしい！

１０分後、やがて結論が出た・・・・・今日は運行しないらしい。どうやら明日のバスらしい・・・・・・

万事窮すなのか！？

「しかたないわね！」

そのおばさんは、決心して立ち上がった！

「こうなったら、バスＨｏｐｐｉｎｇしかないわ！　海沿いに、東へ、東へとバスを乗り継いで行くのよ！」

そう決めればあとは早い！

「東へ向かうバスはどれ！？　ANDORA行き！？　いつ出発なの！？　あら、もうすぐ！？　じゃあキップ買うわよ！？」

このおばさん、その迫力と知性で、やたら頼り甲斐がある。　後光が差しているような気がする。　ありがたや〜

ここはひとつ、このマダムについていくしかない！

そして、他の人たちも同感だったらしい。

果たしてどうなってしまうのか？！サンレモ脱出大作戦！

サンレモ脱出編その２へ

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